家庭の電気・ガス料金を大幅削減 電力会社・ガス会社の賢い切り替え術
電気・ガス会社の切り替えは本当に得なのか?知っておきたい基礎知識
近年、電気やガスの料金が高騰し、家計への負担が増していると感じている方も多いのではないでしょうか。こうした状況下で注目されている節約術の一つが、電力会社やガス会社の切り替えです。2016年の電力自由化、2017年のガス自由化により、私たちは契約する会社を自由に選べるようになりました。しかし、「本当に安くなるのか」「手続きは面倒ではないのか」といった疑問から、まだ切り替えに踏み切れていない方もいるかもしれません。
この記事では、電気・ガス会社の切り替えによる節約の可能性、メリット・デメリット、そして賢く会社を選ぶためのポイントについて解説します。
電力・ガス会社を切り替えることのメリット
電力・ガス会社の切り替えには、主に以下のようなメリットが挙げられます。
- 料金プランの多様性: 大手電力・ガス会社だけでなく、様々な新規参入企業が独自の料金プランを提供しています。例えば、特定の時間帯に料金が安くなるプラン、再生可能エネルギーを積極的に利用するプラン、インターネットや携帯電話、クレジットカードなどとのセット割引があるプランなど、ご自身のライフスタイルに合わせた最適なプランを見つけやすい可能性があります。
- サービスの向上: 競争原理が働くことで、各社が顧客獲得のために様々な付加サービスを提供しています。駆けつけサービスや、ポイント還元、地域特化型のサービスなどがその例です。
- 環境への貢献: 再生可能エネルギー由来の電力を選択できるプランを選ぶことで、環境問題への貢献意識を満たすこともできます。
削減効果はどれくらい期待できるか
切り替えによる具体的な削減額は、現在の契約内容、ご家庭の電力・ガス使用量、選ぶ新しいプランによって大きく異なります。一般的には、年間数千円から数万円程度の削減が期待できるケースが多いとされています。特に、長く同じ会社と契約している場合や、ご家庭の使用量が多いほど、削減効果が大きくなる傾向が見られます。
例えば、東京都在住の一般的な4人家族で、現在の電力契約が大手電力会社の標準的なプランである場合、他の新電力会社の提供するプランに切り替えることで、年間1万円以上の電気代削減になったという事例も報告されています。ただし、これはあくまで一例であり、必ずしも全ての家庭で同じ効果が得られるわけではありません。ご自身の使用状況を正確に把握し、複数の会社のプランと比較検討することが重要です。
切り替えの際に考慮すべきデメリットと注意点
メリットがある一方で、切り替えにはいくつかのデメリットや注意点も存在します。
- 手続きの手間: 契約内容の比較検討から申し込みまで、ある程度の時間と労力がかかります。特に多くの会社やプランがあるため、どれが最適かを見極めるのに迷うこともあります。
- 契約期間と解約金: 一部のプランには契約期間が定められており、期間内に解約すると解約金が発生する場合があります。現在の契約や新しい契約の条件をしっかり確認する必要があります。
- 供給の安定性: 基本的には、どの会社と契約しても同じ送配電網・ガス導管を利用するため、供給の安定性に差はありません。しかし、万が一契約している会社が倒産した場合の対応については、事前に確認しておくとより安心です。送配電網を管理する一般送配電事業者が供給を継続することになっていますが、一時的に手続きが必要になる場合もあります。
- 複雑な料金体系: 様々な割引や条件が付帯したプランが多く、単純な基本料金や従量料金の比較だけでは判断が難しい場合があります。隠れた条件がないか、小さな文字の部分まで確認することが大切です。
賢い電力・ガス会社の選び方
失敗しない切り替えのためには、以下のポイントを踏まえて会社を選ぶことが推奨されます。
- ご家庭の使用状況を把握する: 毎月の電気・ガス使用量、特に時間帯別の使用パターン(オール電化で深夜に使用量が多いかなど)を確認します。過去1年分の検針票や、電力会社・ガス会社のマイページなどで確認できます。
- 複数の会社・プランを比較検討する: 料金比較サイトや各社のホームページを活用し、ご家庭の使用状況に合った料金プランを提供している会社を探します。基本料金、従量料金単価、各種割引(セット割、使用量に応じた割引など)、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金の扱いなどを総合的に比較します。
- 契約条件を確認する: 契約期間の有無、解約金の条件、支払い方法、カスタマーサポートの体制などを確認します。特に、キャンペーン料金が適用される期間や、その後の料金変動についても確認が必要です。
- 信頼性を確認する: 会社の設立年数や事業実績、利用者の口コミなども参考に、信頼できる会社かどうかを判断します。
具体的な切り替え手続きの流れ
一般的な切り替え手続きは比較的シンプルで、多くの場合は以下の流れで進みます。
- 現在の契約内容を確認する: 現在契約している電力・ガス会社の名称、お客様番号、供給地点特定番号などを確認します。これらは検針票や契約書に記載されています。
- 新しい会社とプランを選ぶ: 上記の選び方を参考に、切り替え先の会社とプランを決定します。
- 新しい会社に申し込む: 選んだ会社のウェブサイトや電話で申し込みます。この際、現在の契約情報が必要になります。
- スマートメーターの設置(電力): 電力会社の場合、まだスマートメーターが設置されていない場合は、原則無料で設置工事が行われます。立ち合いは不要な場合がほとんどです。
- 切り替え完了: 新しい会社での供給が開始されます。現在契約している会社への解約手続きは、新しい会社が行ってくれる場合がほとんどです。
よくある疑問へのQ&A
Q1: 停電やガス供給が止まるリスクは増えるのでしょうか? A1: いいえ、電力会社やガス会社を切り替えても、電力やガスの供給品質や安定性は変わりません。送配電網やガス導管は、どの会社と契約しても同じものが使われるためです。停電やガスの供給停止リスクが増すことはありません。
Q2: 賃貸物件でも切り替えは可能ですか? A2: はい、多くの場合、賃貸物件でも個別に契約している場合は切り替えが可能です。ただし、建物全体で一括して電力会社やガス会社と契約している場合(マンションなどの一括受電・受ガス契約)は、個人での切り替えはできません。事前に賃貸借契約書を確認するか、管理会社や大家さんに確認してください。
Q3: セット割引は本当に得なのでしょうか? A3: セット割引は魅力的に見えますが、割引額だけで判断せず、トータルの支出で比較することが重要です。例えば、電気と携帯電話のセット割引の場合、電気料金は安くなっても、携帯電話の基本料金が高いままでは、全体の通信費と光熱費を合計した金額が以前より高くなる可能性もあります。個々のサービス料金とセット割引額の両方を確認し、総合的に判断することをお勧めします。
まとめ
電力会社やガス会社の切り替えは、ご家庭の光熱費を削減するための有効な手段の一つです。多様なプランの中からご自身の使用状況に最適なものを選ぶことで、無理なく節約を実現できる可能性があります。
ただし、切り替えの際には、料金だけでなく契約条件やサービス内容を十分に比較検討し、ご家庭にとって本当にメリットがあるかどうかを慎重に判断することが大切です。情報収集をしっかり行い、賢く会社を選んでみてください。